モデルにはさまざまな種類があり、ファッションモデルや読者モデル、SNSモデルなどが存在します。
そのなかでコマーシャルモデルは、商品やサービスの広告・販促に特化したモデルを指します。
本記事では、コマーシャルモデルの基本知識から仕事内容、未経験からでも挑戦できる方法まで詳しく解説します。
あなたの芸能界デビューの夢を現実に近づける第一歩として、ぜひ参考にしてください。
もくじ
コマーシャルモデルとは
コマーシャルモデルとは、企業広告や商品の広告、ポスターやカタログなどの商業媒体で活躍するモデルのことです。企業の商品をPRしたり、ブランドイメージを高めるための重要な役割を担っています。
広告モデルとも呼ばれ、厳密には芸能事務所では広告モデルという呼称を使い、モデル事務所ではコマーシャルモデルと呼ぶ傾向があります。年収相場は50万円から300万円程度で、活動頻度は月1回から5回程度、契約期間は単発から年間契約まで幅広く設定されています。
CMに有名人が出てくる場合はCMタレントやアンバサダーと呼ばれることが多く、現在ではコマーシャルモデル専属の人はあまりいません。
ほとんどが芸能事務所に所属しており、芸能事務所に所属するモデルや女優が初期にCM出演をするケースが一般的です。
藤本唯千夏さんや貴島明日香さんなど、女優・モデルとして活動しながら主にCMを中心に活躍している方々が代表例といえるでしょう。
ファッションモデルとの違い
ファッションモデルとコマーシャルモデルには、活動の場や求められる資質に大きな違いがあります。ファッションモデルは主にランウェイを歩くのが主な活躍の場で、雑誌やポスターにも登場しますが、基本的にスタイルが良く服を美しく見せるのが役割です。
冨永愛さんのような有名なファッションモデルには、突出したスタイルやカリスマ性、そして服の広告塔になれるような誰もが憧れる見た目と表現力が求められます。一方、コマーシャルモデルは主に広告媒体で活動するモデルであり、ファッションモデルとは仕事の場が違います。
求められる雰囲気も異なり、コマーシャルモデルは各広告にマッチする雰囲気が求められます。一般的には親しみやすいルックスやキャラクター、そしてCM出演時に必要な演技力が重視される傾向にあります。
コマーシャルモデルの仕事内容と活躍の場
コマーシャルモデルの活躍の場は多岐にわたる広告媒体に及んでいます。テレビCMから始まり、Web広告、カタログ、販促用ポップまで、私たちが日常的に目にするさまざまな場面で活動しています。
- コマーシャルモデルの仕事内容
- テレビCM・Web広告・カタログ・販促POP
コマーシャルモデルの仕事内容
コマーシャルモデルの仕事内容とは、商品の魅力を引き立てる表情やポージングを通じて、企業のメッセージを消費者に伝えることです。撮影現場では、セリフがある場合は自然な話し方なども求められます。
企業イメージに沿った服装やメイクで撮影に臨み、時には顧客のターゲット層に合わせて日常感を演出する必要があります。たとえば、主婦向け商品なら親しみやすい家庭的な雰囲気を、若者向け商品なら活動的で明るい印象を表現することが求められます。
撮影ディレクションに柔軟に対応し、表情のバリエーションを即座に出せることがプロとしての評価につながります。一回の撮影で複数の表情やポーズを要求されることも多く、瞬時に切り替えられる対応力が重要な要素となっています。
テレビCM・Web広告・カタログ・販促POP
コマーシャルモデルの活躍の場は、テレビCM、YouTube広告、企業サイトのバナー、商品カタログ、交通広告など多岐にわたる媒体に及んでいます。販促用のチラシやドラッグストアのPOP、デジタルサイネージなど日常的に目にする広告にも多く起用されています。
テレビCMでは動きのある表現力が求められ、静止画のカタログでは一瞬で商品の魅力を伝える表情が必要です。媒体ごとに求められる雰囲気や表情が異なるため、媒体に応じた柔軟な対応力が求められます。
Web広告では短時間で印象を残す必要があり、交通広告では遠くからでも目を引く存在感が重要です。それぞれの特性を理解し、最適なパフォーマンスを提供できることが、継続的な仕事獲得につながる重要なスキルといえるでしょう。
コマーシャルモデルに求められる人物像とスキル
コマーシャルモデルとして成功するためには、特定の人物像とスキルが求められます。ファッションモデルとは異なる魅力や能力が評価される傾向があり、親しみやすさと現場での対応力が特に重要視されています。
企業が求める人材像を理解し、必要なスキルを身につけることで、オーディション合格率を高めることができます。以下では、コマーシャルモデルに求められる主要な要素について詳しく解説します。
- 親しみやすさや好感度が求められる
- 現場対応力と柔軟性が求められる
親しみやすさや好感度が求められる
テレビCMやWeb広告に登場するモデルには、ファッションモデルのような非現実的な美しさよりも、親しみやすさや自然体が重視される傾向があります。企業が届けたいイメージに合うかどうかが選考のカギで、むしろ派手すぎるルックスは避けられることもあります。
消費者が商品に対して抱く印象は、モデルの雰囲気に大きく左右されます。親しみやすい笑顔や、見る人に安心感を与える雰囲気が商品イメージにマッチすれば、それが大きな武器となります。
隣にいそうな可愛さや話しかけやすそうな印象といった、一般消費者が共感しやすい魅力こそが、コマーシャルモデルには求められる最重要な要素といえるでしょう。特別な美貌よりも、多くの人に愛される親近感のある魅力が評価されます。
現場対応力と柔軟性が求められる
CM撮影現場では、ディレクターの指示にすぐ対応できる柔軟性と空気を読む力が必要不可欠です。撮影スケジュールは限られており、短時間で多くのカットを撮影する必要があるため、迅速な対応が求められます。
セリフがある場合も棒読みにならず、自然に話せることが求められます。演技経験がなくても、喜怒哀楽などの感情を顔で伝える力があれば十分評価される傾向があります。
短時間で複数のパターンを演じ分ける能力も重視される要素の一つです。明るい表情真剣な表情驚いた表情など、ディレクターの要求に応じて瞬時に表情を変えられることが、プロとしての価値を高める重要なスキルとなっています。
未経験からコマーシャルモデルになるには?
未経験からコマーシャルモデルを目指す方法は、複数のルートが存在します。従来の芸能事務所への所属だけでなく、近年では直接応募できる案件も増えており、チャンスの幅が広がっています。
自分の状況や目標に合った方法を選択することで、効率的にコマーシャルモデルとしてのキャリアをスタートできます。以下では、主要なアプローチ方法について詳しく解説します。
- 直接応募できるCMモデル案件へ応募する
- 芸能事務所のオーディションを受ける
直接応募できるCMモデル案件へ応募する
コマーシャルモデルとして活動を始める方法は、芸能事務所に所属するだけではありません。近年では、企業や広告代理店が直接モデルを募集するケースも増えており、フリーランスや副業として活動するチャンスが広がっています。
たとえば、食品関連のCM出演モデル募集では、20代から30代前半の女性を対象に、駅前サイネージやSNS広告用のCMモデルを募集する案件があります。
また、企業CMイメージモデル募集では、ナチュラルな雰囲気の20歳から35歳の男女を対象とした募集も見られます。
さらに、TikTokやInstagram用のアプリ動画広告モデル募集では、18歳から25歳前後の女性を対象とした、SNS用アプリ動画広告のモデルを募集する案件も増加しています。こうした直接応募の機会を活用することで、事務所に所属していなくてもコマーシャルモデルとしての経験を積むことが可能です。
芸能事務所のオーディションを受ける
長期的なキャリアを考えるなら、芸能事務所やモデル事務所に所属するのがおすすめです。事務所に所属することで、演技やポージング、表現のレッスンを受けられ、事務所が仕事を獲得して回してくれるメリットがあります。
オーディションに合格するのが難関という問題はありますが、将来的にモデルや女優、タレントを目指す際にも必須の過程といえます。事務所では専門的な指導を受けられるため、スキルアップの速度も格段に向上します。
事務所所属により、個人では獲得困難な大手企業のCM案件にも参加できる可能性が高まります。プロとしての基礎を固めながら安定した活動を目指すなら、事務所への所属を検討することが重要な選択肢となるでしょう。
コマーシャルモデルから芸能界へ:キャリアアップの可能性
コマーシャルモデルとしての経験は、芸能界での本格的なキャリア構築への重要なステップとなります。多くの著名な女優やタレントが、CM出演をきっかけに芸能界で成功を収めている実例があります。
CMを通じて得られる経験や知名度は、その後の活動において大きなアドバンテージとなります。以下では、コマーシャルモデルから芸能界へのキャリアアップについて詳しく解説します。
- CM出演が女優・タレントへの登竜門となる理由
- 実際にキャリアアップを果たした著名人の例
CM出演が女優・タレントへの登竜門となる理由
コマーシャルモデルとしての活動は、商品やサービスの魅力を伝えるだけでなく、自身の表現力や存在感をアピールする場でもあります。CMを通じて多くの人々の目に触れることで、演技力や個性が評価され、ドラマや映画、バラエティ番組などへの出演オファーにつながることがあります。
CM出演により培われる短時間での表現力や現場対応力は、その後の芸能活動において大きな武器となります。限られた時間で商品の魅力を伝える技術は、ドラマやバラエティでの瞬発力にも直結するスキルです。
また、CMでの露出により一般認知度が高まることで、キャスティング担当者の目に留まりやすくなります。多くの制作関係者がCMをチェックしており、印象に残ったモデルに対して積極的にオファーを出すケースも珍しくありません。
実際にキャリアアップを果たした著名人の例
芸能人名 | 初期キャリア | 代表的なCM | ブレイクのきっかけ | CM出演からブレイクまでの期間 |
綾瀬はるか | ホリプロタレントスカウトキャラバン(審査員特別賞) | 大塚製薬『ポカリスエット』 アリナミン製薬株式会社『ベンザブロックプレミアム』 | ドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年) | 約2年 |
新垣結衣 | 雑誌『ニコラ』専属モデル | 江崎グリコ『ポッキー』 | ドラマ『ドラゴン桜』(2005年) | 約2〜3年 |
本田翼 | 雑誌『Seventeen』専属モデル | ファミリーマート マクドナルド | ドラマ『セレブと貧乏太郎』(2008年) | 約2年 |
川口春奈 | 福岡でスカウトされ芸能界入り | アサヒ飲料『三ツ矢サイダー』 | ドラマ『美咲ナンバーワン!!』(2011年)主演 | 約1〜2年 |
有村架純 | FLaMmeオーディション合格 | 伊藤『お〜いお茶』 | ドラマ『あまちゃん』(2013年) | 約3年 |
これらの例からもわかるように、コマーシャルモデルとしての経験が、その後の芸能活動において大きなプラスとなることが多いです。
成功した女優たちの経歴を分析すると、いくつかの共通パターンが見えてきます。まず注目すべきは出演時の年齢で、多くが15歳から20歳という若い時期にCM出演を果たしていることです。この時期のフレッシュな魅力が企業や視聴者に強く印象を残したことがわかります。
成功への典型的な流れを見ると、まずCM出演で注目を集めて話題性と知名度を獲得します。次にドラマや映画の小さな役で演技経験を積んで実力を向上させ、最終的に主演級の役でブレイクして本格的な女優・タレント活動へと発展していくパターンが一般的です。
現在の芸能界のトレンドとして、TikTokやInstagramでバズったCMがきっかけで芸能界入りするケースも増加しています。SNS時代だからこそ、一本のCMが人生を変える大きな転機になる可能性が以前よりも高まっているといえるでしょう。
コマーシャルモデルとしての経験は確実にキャリアの土台となり、その後のさまざまな活動に活かされることは間違いありません。
コマーシャルモデルについてよくある質問
コマーシャルモデルを目指す方から寄せられる質問に回答します。
- Q1. コマーシャルモデルと広告モデルの違いはありますか?
- Q2. CMモデルに身長や年齢の制限はありますか?
- Q3. 事務所に入らなくてもコマーシャルモデルになれますか?
- Q4. 地方在住や副業でもCMモデルとして活動できますか?
Q1. コマーシャルモデルと広告モデルの違いはありますか?
基本的にはほぼ同義と考えて問題ありません。どちらも商品やサービスを宣伝するための広告媒体に登場するモデルを指します。業界内では同じ職種として扱われることがほとんどです。
ただし広告モデルは俳優や芸人なども含む広義で使われることがあり、コマーシャルモデルはモデル寄りの文脈で使われることが多い傾向があります。事務所によって使い分けている場合もありますが、実質的な違いはないと考えて良いでしょう。
Q2. CMモデルに身長や年齢の制限はありますか?
ファッションモデルとは違い、コマーシャルモデルに明確な身長制限や年齢制限はありません。実際にシニア層やキッズ、主婦層まで幅広く活躍しています。
最も重要視されるのは、商品のイメージやターゲットに合った雰囲気かどうかです。子ども向け商品なら親しみやすい雰囲気、高級ブランドなら上品な印象など、商品特性に応じた魅力があれば年齢や身長に関係なくチャンスがあります。
Q3. 事務所に入らなくてもコマーシャルモデルになれますか?
可能ではありますが、難易度は高めです。最近では個人応募できるCM案件も増えていますが、基本的には芸能事務所やモデル事務所に所属し、案件を紹介してもらう流れが一般的です。
とはいえ、SNSやオーディションサイト経由でのスカウトや直接応募も増えているので、両方のルートを検討するのがおすすめです。事務所所属の安定性と、個人活動の自由度を比較検討して最適な方法を選択しましょう。
Q4. 地方在住や副業でもCMモデルとして活動できますか?
オンラインオーディションや宅撮り(自宅撮影)などの手法が普及し、東京在住でなくても活動のチャンスが広がっています。副業OKの事務所も多く、週末だけや1日完結の案件なども豊富にあります。
特別なスキルよりも日常感が求められるため、本業が別にある人にもチャンスは十分あります。地方の企業や自治体が地元出身者を起用するケースも増えており、むしろ地方在住が有利になる場合もあります。
まとめ
コマーシャルモデルは、芸能界を目指す方にとって魅力的な選択肢の一つです。ファッションモデルとは異なる親しみやすさが求められ、未経験からでも挑戦しやすい分野といえます。
直接応募できる案件の増加や、SNSを活用したセルフプロデュースの可能性により、以前よりもチャンスの幅が広がっています。綾瀬はるかさんや新垣結衣さんのように、CM出演をきっかけに大ブレイクした著名人の例も数多く存在します。
重要なのは、自分に合ったアプローチ方法を見つけ、継続的に努力を続けることです。親しみやすさと現場対応力を磨きながら、まずは小さな案件からでも経験を積んでいきましょう。