2023年のジャニーズ問題を境に、日本の芸能界は歴史的な大転換期を迎えています。
旧ジャニーズのSTARTO ENTERTAINMENTへの移行、UUUMの上場廃止、VTuber事務所の急成長、BMSGの台頭など、わずか数年で勢力図がガラリと変わりました。
この記事では、2026年時点の最新の芸能事務所の勢力図を、業界人の視点からわかりやすく解説します。
読み終わるころには、どの事務所が強いのか、これからどこが伸びるのかがクリアに見えてくるはずです。
もくじ
芸能事務所の勢力図は大きく6つのグループに分かれる

芸能事務所の勢力図は、業界での影響力や収益構造に応じて大きく6つのグループに分けられます。
単純な売上規模だけではなく、テレビ局との関係性や所属タレントの発信力など、複合的な要素で立ち位置が決まっているのが特徴です。
- 業界支配層(テレビ・メディアへの影響力が大きい)
- 大手総合マネジメント層(俳優・音楽・バラエティで安定)
- 新興勢力(VTuber・YouTuberなどデジタル発)
- お笑い・アイドル特化層
- 独立系・次世代系
- 専門特化型
次の章からは、とくに注目すべき「業界支配層」「大手総合マネジメント層」「新興勢力」の3グループについて、代表的な事務所を具体的に解説していきます。
【業界支配層】勢力図のトップに君臨する4つの事務所

業界支配層とは、テレビ局・広告代理店・レコード会社など多方面への影響力が大きく、業界全体の動向を左右する存在感を持つ事務所のことです。
ここに含まれるのは、以下の4つの事務所です。
- STARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ)
- バーニンググループ
- 吉本興業ホールディングス
- アミューズ
STARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ)
STARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ)は、2024年に本格始動した旧ジャニーズ事務所の後継会社で、依然として日本の男性アイドル市場を牽引する存在です。
2024年4月には28組295名のタレントと契約を結び、本格的に活動をスタート。所属にはSnow Man、SixTONES、なにわ男子、King & Prince、Travis Japan、timeleszなどがいます。
契約形態は「エージェント」と「専属マネジメント」の選択制で、タレント自身が選べる仕組みが新しいポイントです。
2025年6月には初代CEOの福田淳氏が退任し、元フジテレビ「めざましテレビ」初代プロデューサーの鈴木克明氏が新CEOに就任しました。
バーニンググループ
バーニンググループは、芸能界の実力者として知られる事務所で、日本の芸能界に長年にわたり大きな影響力を持ち続けてきました。
1971年に周防郁雄氏が設立。有能なマネージャーを暖簾分けのように独立させ、複数の関連事務所からなる「バーニンググループ」という企業集団を形成してきたのが特徴です。
バーニングプロダクション本体の所属タレントには郷ひろみ、内田有紀、三浦翔平などがいます。
2024年に創業者の周防郁雄氏が退任し、長男の彰吾氏が2代目社長に就任。世代交代が進んでいます。
吉本興業ホールディングス
吉本興業ホールディングスは、お笑い業界で圧倒的なシェアを持つ日本最大級の総合エンターテインメント企業です。
1912年創業という長い歴史を持ち、ダウンタウン、明石家さんま、ナインティナインなどの大物芸人をはじめ、現在も6,000人以上の芸人・タレントが所属しているといわれています。
新人育成機関「NSC(吉本総合芸能学院)」からは、毎年多くの売れっ子芸人が誕生しています。
近年はお笑いだけでなく、俳優・アイドル・文化人のマネジメントにも力を入れていて、その勢力範囲は拡大傾向にあります。
アミューズ
アミューズは音楽業界で首位級の業績を誇る独立系エンターテインメント企業で、「ポストジャニーズの最右翼」とも目されている注目の事務所です。
1978年創業で、2006年に東証1部(現プライム市場)に上場。
サザンオールスターズ、福山雅治、星野源、Perfume、BABYMETAL、ポルノグラフィティなどの大物ミュージシャンと、吉沢亮、仲里依紗、吉高由里子などの俳優を抱える総合エンタメ企業です。
収益の柱は「大型ライブ+グッズ販売」「ファンクラブ運営」「映像制作」の3本立てで、特定のタレントに依存しない盤石な収益構造を築いているのが強みといえます。
【大手総合マネジメント層】安定した実力派事務所5選

大手総合マネジメント層は、俳優・音楽・バラエティなど幅広い分野で安定した実力を持つ事務所です。業界支配層ほどの権力はないものの、日本の芸能界を長年支えてきた実力派といえます。
代表的な事務所は以下の5つです。
- ホリプロ
- 研音
- 太田プロダクション
- ワタナベエンターテインメント
- スターダストプロモーション
ホリプロ
ホリプロは1960年創業の老舗で、日本の芸能プロダクションを一つの企業として社会に認知させた先駆者です。
「ホリプロタレントスカウトキャラバン」という自社オーディションから、榊原郁恵、石原さとみなど多くのスターを輩出してきました。現在の所属には、和田アキ子、鈴木亮平、松山ケンイチ、石原さとみ、高畑充希などがいます。
お笑い部門の「ホリプロコム」も展開していて、バナナマンなどの人気コンビが所属しているのも特徴です。
研音
研音は俳優マネジメントに強みを持つ独立系の芸能事務所で、主演級のスターを数多く輩出してきた実力派です。
1979年設立でスタートは音楽事務所としての性質が強かったものの、1980年代後半からは俳優マネジメント中心へと方針転換。
浅野ゆう子、唐沢寿明、山口智子、反町隆史、竹野内豊など、ドラマ主演級の俳優を次々と売り出してきました。現在の所属には天海祐希、菅野美穂、松山ケンイチ、速水もこみち、沢村一樹などがいます。
業界内では「バーニング系列とは一線を画す独立路線」として知られていて、日本音楽事業者協会にも加盟せず独自のポジションを築いています。
太田プロダクション
太田プロダクションは、お笑いと若手タレントに強みを持つ、バラエティ業界には欠かせない事務所です。
爆笑問題、有吉弘行、千原兄弟などのお笑い芸人に加え、指原莉乃、大島優子、生田絵梨花など、元アイドルのタレント転向組も数多く所属しています。
バラエティ番組に強く、「太田プロライブ」などの若手芸人の登竜門イベントも有名です。
お笑いと俳優・タレントの両軸で安定した勢力を保っています。
ワタナベエンターテインメント
ワタナベエンターテインメントは、渡辺プロダクション(通称:ナベプロ)の流れを汲む、古くからフジテレビと太いパイプを持つ事務所です。
1959年創業の渡辺プロダクションの組織改編により、芸能プロダクション部門として分社化され設立されました。
現在の所属にはネプチューン、ブラックマヨネーズ、小島よしお、日向坂46の一部メンバー、ももいろクローバーZのメンバーなどがいます。
所属タレント養成学校「渡辺高等学院」も運営していて、若手育成にも力を入れています。
スターダストプロモーション
スターダストプロモーションは、1979年創業の大手俳優マネジメント事務所で、朝ドラヒロインを多数輩出している実力派です。
総勢1,000人を超えるタレントが所属し、東京のほか大阪・名古屋・福岡・沖縄・仙台にも営業所を持つ全国規模の事務所です。
所属には北川景子、岡田将生、横浜流星、永野芽郁、本田翼、小松菜奈、仲野太賀、中川大志などの人気俳優が揃っています。
さらに、最近では女性アイドル部門「STAR PLANET」や男性アーティスト部門「EBiDAN」も展開していて、俳優以外のジャンルにも勢力を広げています。
【新興勢力】急成長するVTuber・YouTuber事務所

2020年代に入ってから急速に台頭してきたのが、デジタルネイティブな新興勢力です。従来の芸能事務所とは異なるビジネスモデルで、既存勢力に迫る規模に成長しています。
とくに注目すべき4つの事務所を紹介します。
- ANYCOLOR(にじさんじ運営)
- カバー(ホロライブ運営)
- UUUM(フリークアウトHD完全子会社)
- BMSG(SKY-HI主宰)
ANYCOLOR(にじさんじ運営)
ANYCOLOR(にじさんじ運営)は、VTuberグループ「にじさんじ」を運営する、VTuber市場の最大手企業です。
2025年4月期の売上高は428億7,700万円(前年比+34.0%)、営業利益は162億8,000万円で、営業利益率は驚異の38.0%を記録しました。
所属VTuberは170名(2025年4月末時点)で、国内の「にじさんじ」と英語圏向けの「NIJISANJI EN」を展開しています。
東証プライム市場上場で、アイドル的な統一感よりも「多ジャンルで小さなコミュニティを複数成立させる」戦略が特徴です。
カバー(ホロライブ運営)
VTuberグループ「ホロライブプロダクション」を運営する、ANYCOLORと双璧をなす大手企業です。
2025年3月期の売上高は364億8,100万円(前年比+20.9%)、営業利益は73億円。ANYCOLORよりも海外展開に積極的で、「ホロライブEnglish」は北米・東南アジアで高い人気を獲得しています。
所属VTuberは89名(2025年3月末時点)で、女性VTuber中心の「ホロライブ」と男性VTuber向けの「ホロスターズ」に分かれています。
物販・ライブイベント・トレーディングカードなど、コマース領域の収益比率が高いのが特徴です。
UUUM(フリークアウトHD完全子会社)
UUUM(フリークアウトHD完全子会社)は、かつて時価総額1,000億円を超えたYouTuber事務所の最大手で、2025年2月に上場廃止となりました。
ヒカキン、はじめしゃちょう、東海オンエアなど、約150〜200組のトップYouTuberが所属しています。
2017年に東証マザーズ(現グロース市場)に上場しましたが、ショート動画の台頭で広告収益モデルが崩れ、親会社のフリークアウト・ホールディングスによるTOBを経て2025年2月17日に上場廃止となりました。
今後はタイアップ広告やグッズ販売を強化し、インフルエンサーマーケティング企業として再スタートを切る方針です。
BMSG(SKY-HI主宰)
BMSG(SKY-HI主宰)は、元AAAのラッパー・SKY-HI(日高光啓氏)が2020年9月に設立した、「才能を殺さないために」をスローガンに掲げる新興レーベルです。
所属アーティストは23名で、オーディション初のグループが多いのが特徴となっています。
エイベックス・エンタテインメントとの共同レーベル「B-ME」、ユニバーサルミュージックとの合同レーベル「BE-U」も展開し、メジャーレーベルとの連携で勢力を拡大中です。
芸能事務所の勢力図を動かす3つの力

事務所の力関係は、単なる売上規模や所属タレントの人気だけで決まるわけではありません。業界の勢力図を左右しているのは、以下の3つの力です。
- テレビ局・広告代理店との関係性
- 所属タレントの集客力・影響力
- 収益構造(CD・ライブ・グッズ・配信)
テレビ局・広告代理店との関係性
昔ながらの芸能界で権力を持つのは、テレビ局や大手広告代理店(電通など)との深いパイプを持つ事務所です。
たとえばドラマの主演枠やバラエティのMC席、CM契約など、タレントの露出機会を決める場面で、この関係性がものを言います。
バーニンググループやSTARTO ENTERTAINMENTのように、長年の関係を築いてきた事務所は、今でも大きな影響力を持っています。
一方で、2023年のジャニーズ問題を機に、テレビ局各社はタレントの起用方針を見直す動きを加速。従来の「事務所の力」が通用しにくい時代に変わりつつあります。
所属タレントの集客力・影響力
もうひとつの力の源泉は、所属タレント自身が持つ集客力や発信力です。
SNSのフォロワー数、YouTubeの登録者数、ライブ動員数、グッズ販売数など、数字で測れる「ファンの熱量」が、事務所の交渉力を直接的に高めます。
たとえばヒカキンの個人SNSフォロワーは数千万人規模で、これ自体が強力な交渉材料になります。
タレント自身のブランド力が高まれば、事務所に依存しない独立も可能になるため、近年は個人事務所設立のケースも増えています。
収益構造(CD・ライブ・グッズ・配信)
収益の多様化も、事務所の勢力を左右する重要な要素です。
CD売上に依存していた時代は終わり、現在はライブ動員・グッズ販売・サブスク配信・ファンクラブ会費・YouTube広告など、複数の収益源を持つ事務所が強くなっています。
アミューズが特定タレントに依存せず安定した業績を維持できているのも、この収益の多角化があるためです。
逆に、収益源が限られている事務所は、環境変化に脆くなります。UUUMが広告収入への依存からショート動画時代に対応できず苦戦したのは、その典型例といえるでしょう。
芸能事務所の勢力図から見る「売れる事務所」の選び方

芸能界を目指している方にとって、どの事務所に所属するかは人生を左右する重要な選択です。勢力図を踏まえて、自分に合う事務所の選び方を解説します。
- 大手事務所のメリット・デメリット
- 中堅事務所が狙い目のケース
- 自分の強みに合った事務所を選ぶコツ
大手事務所のメリット・デメリット
大手事務所は、テレビ局や広告代理店との強力なパイプを持ち、大きな仕事のチャンスが多いのが最大のメリットです。
一方で、所属タレントが多いぶん、すべての人にスポットライトが当たるわけではありません。
数年単位で目立った仕事がなく、いわゆる「干される」状態になるケースもあります。また、事務所の方針に従う必要があり、自由度は低くなりがちです。
中堅事務所が狙い目のケース
自分の個性を活かしたい、きめ細かくサポートしてほしいという方には、中堅事務所のほうが合っている場合もあります。
研音のように少数精鋭で役者を育てる事務所や、BMSGのように育成に力を入れるレーベルでは、一人ひとりにしっかり時間をかけてもらえるのが強みです。
大手ほどの知名度は得にくいかもしれませんが、自分のやりたいことを実現しやすい環境といえるでしょう。
自分の強みに合った事務所を選ぶコツ
事務所選びで大切なのは、自分の目指す方向性と事務所の強みを一致させることです。
また、音楽ならBMSG・アミューズ・エイベックス、VTuberならANYCOLOR・カバーといったように、ジャンルごとに強い事務所は異なります。
公式サイトで所属タレントのキャリアパスを確認し、「自分の10年後の姿」に近い先輩がいる事務所を選ぶのがおすすめです。
芸能事務所の勢力図についてよくある質問

芸能事務所の勢力図はときとともに変化しています。ここからは、芸能事務所の勢力図についてよくある質問をまとめました。
Q1. 芸能界で一番強い事務所はどこですか?
単純な売上規模ではアミューズや吉本興業、業界影響力ではSTARTO ENTERTAINMENTやバーニンググループが挙げられます。
ただし「一番強い」の定義によって答えは変わります。音楽業界ではアミューズ、テレビバラエティでは吉本興業、男性アイドル市場ではSTARTO ENTERTAINMENT、VTuber市場ではANYCOLORと、ジャンルごとにトップは異なるのが実情です。
2023年のジャニーズ問題以降は、一強体制から複数のプレイヤーが拮抗する時代に移行しています。
Q2. ジャニーズはなくなったのですか?
名前としての「ジャニーズ事務所」はなくなりましたが、タレント自体は新会社で活動を続けています。
2023年10月に旧ジャニーズ事務所は被害補償業務を担う「SMILE-UP.」に社名変更され、タレントのマネジメント業務は新設の「STARTO ENTERTAINMENT」に移管されました。
Snow Man、SixTONES、なにわ男子などのグループは、現在STARTO ENTERTAINMENTから活動を続けています。
Q3. バーニングプロダクションとは何ですか?
1971年に周防郁雄氏が設立した芸能事務所で、関連会社を含む「バーニンググループ」として業界に大きな影響力を持ってきた事務所です。
所属タレントには郷ひろみや内田有紀などがいます。2024年には創業者の周防郁雄氏が退任し、長男の彰吾氏が2代目社長に就任するなど、世代交代が進みつつあります。
Q4. VTuber事務所は芸能事務所に含まれますか?
VTuber事務所は芸能事務所の1つです。ANYCOLORやカバーは、既存の大手芸能事務所に匹敵する売上規模と業界影響力を持つ立派な芸能事務所です。
とくにANYCOLORの2025年4月期の売上高428億円は、アミューズの音楽部門と比較しても遜色ない規模です。
VTuberは「バーチャルな見た目」を使うだけで、実際にはタレントのマネジメントを行う芸能ビジネスという点で共通しています。
Q5. 小さい事務所でも売れることはありますか?
小さい事務所でも売れることはもちろんあります。むしろ、個性を活かしやすい小規模事務所から売れるケースも少なくありません。
たとえばBMSGは2020年設立のまだ新しい事務所ですが、短期間でBE:FIRSTなどを大ヒットさせています。
大手に所属することがすべてではなく、自分の才能を理解してくれる事務所に出会えるかどうかが大切です。
Q6. 電通は芸能事務所より強いのですか?
電通は芸能事務所ではなく広告代理店ですが、テレビ業界における影響力は非常に大きいといわれています。
CM契約・番組スポンサー・イベント制作など、芸能人の仕事の多くには広告代理店が関わっているため、芸能事務所とは持ちつ持たれつの関係です。
どちらが強いかというよりも、両者がお互いを必要とする構造になっているのが実態といえるでしょう。
まとめ
2026年の芸能事務所の勢力図は、旧ジャニーズ問題を境に大きく塗り替わりました。
業界支配層ではSTARTO ENTERTAINMENT・バーニンググループ・吉本興業・アミューズが中心的な存在で、とくにアミューズは「ポストジャニーズの最右翼」として注目を集めています。
大手総合マネジメント層ではホリプロ・研音・太田プロ・ワタナベ・スターダストが安定した実力を発揮。新興勢力ではANYCOLORとカバーがVTuber市場を席巻し、BMSGがボーイズグループで頭角を現しています。
今後の芸能界は、従来の「テレビ中心の一強体制」から、ジャンル別に複数のプレイヤーが拮抗する「群雄割拠の時代」へと移行していくでしょう。
自分が推しているタレントの事務所や、芸能界を目指す方のための事務所選びの参考にしてみてくださいね。




